大正浪漫 斜陽のくちづけ
どんな触れ方をすればどう反応するか、確かめるようにじっくりと大きな手が這いまわる。
まだ心の準備もできていない。必死で逃れようとするが、非力な凛子の抵抗など、ほとんど意味をなさない。
夫となった人は、夢中で凛子のそんな様子に構わず、首筋に顔を埋め、肌に
唇を這わせると、夜着の下に手が入ってくる。
何度か触れられたことはあるが、今夜は途中では終わらないだろう。
直接肌に触れられ、いやがうえにも呼吸が乱れる。
がちがちに身を縮こまらせた凛子を見て相楽が笑った。怖くないと言えば嘘になる。けれど拒む権利はない。
「力を抜いて」
どうしていいのかわからず、固まったままでいると、右手で背中を、左手で髪を撫でられた。
薄い絹の下で胸の先が透けているのに気づいて、慌てて手で隠す。
「さ、相楽さん」
「名前」
名前で呼べばいいのかと考えている間に、相楽が胸に顔を埋めた。
「りょ、遼介さ……あっ」
その刺激に思わず吐息を漏らしてしまうと、相楽が笑った。その余裕のある様子に、経験の差をひしひしと感じる。自分だけがうろたえていることがひどく恥ずかしい。
首筋、頬、耳朶と唇が触れるたび、体温が上がってくる。時に浅く、時にきつく肌を吸われると、くすぐったさを超えて、熱が体に溜まっていく。
「ひ、あっ」
唇が触れ合うと、胸が痛みを伴って甘く疼く。
「口開けて」
幾度か触れるだけのくちづけを繰り返すうち、緊張が弛み自然とその要求に応えている自分がいた。
「そう。いい子だ。舌も唇も小さくてかわいい」
凛子の声に相楽が煽られたように唇を夢中で吸ってくる。先ほどまでの甘い口づけは終わり、全てを奪うような激しさに息もできずに、凛子は喘いだ。
苦しさに相楽の胸を押すが、びくともしない。侵入してきた分厚い舌が凛子の舌をとらえ、相楽が強く吸い、甘く噛みついた。
くちづけ一つで我を忘れるほど、心も体も乱れていく。
まだ心の準備もできていない。必死で逃れようとするが、非力な凛子の抵抗など、ほとんど意味をなさない。
夫となった人は、夢中で凛子のそんな様子に構わず、首筋に顔を埋め、肌に
唇を這わせると、夜着の下に手が入ってくる。
何度か触れられたことはあるが、今夜は途中では終わらないだろう。
直接肌に触れられ、いやがうえにも呼吸が乱れる。
がちがちに身を縮こまらせた凛子を見て相楽が笑った。怖くないと言えば嘘になる。けれど拒む権利はない。
「力を抜いて」
どうしていいのかわからず、固まったままでいると、右手で背中を、左手で髪を撫でられた。
薄い絹の下で胸の先が透けているのに気づいて、慌てて手で隠す。
「さ、相楽さん」
「名前」
名前で呼べばいいのかと考えている間に、相楽が胸に顔を埋めた。
「りょ、遼介さ……あっ」
その刺激に思わず吐息を漏らしてしまうと、相楽が笑った。その余裕のある様子に、経験の差をひしひしと感じる。自分だけがうろたえていることがひどく恥ずかしい。
首筋、頬、耳朶と唇が触れるたび、体温が上がってくる。時に浅く、時にきつく肌を吸われると、くすぐったさを超えて、熱が体に溜まっていく。
「ひ、あっ」
唇が触れ合うと、胸が痛みを伴って甘く疼く。
「口開けて」
幾度か触れるだけのくちづけを繰り返すうち、緊張が弛み自然とその要求に応えている自分がいた。
「そう。いい子だ。舌も唇も小さくてかわいい」
凛子の声に相楽が煽られたように唇を夢中で吸ってくる。先ほどまでの甘い口づけは終わり、全てを奪うような激しさに息もできずに、凛子は喘いだ。
苦しさに相楽の胸を押すが、びくともしない。侵入してきた分厚い舌が凛子の舌をとらえ、相楽が強く吸い、甘く噛みついた。
くちづけ一つで我を忘れるほど、心も体も乱れていく。