大正浪漫 斜陽のくちづけ
 怒ったように、上半身を起こすと、下腹部に手を這わせた。触れられなくてももうしとどに濡れているのがわかる。
 まだ結婚してから日が浅いというのに、体はもう彼に馴染んでいた。日に日に感じやすくなっている。

 両手で凛子の膝を思い切り開き、割れ目を撫でると、和毛の下に隠れた小さな粒を探しだした。

「あっ」

 刺激の強い部分を擦られ悲鳴があがる。

「凛子……足開いてよく見せて」

 声が甘くなった。情事の時にだけ聞かせてくれる優しく低い声。口調は柔らかいのに有無を言わせない圧がある。
 乞われるがまま、ゆっくりと足を開く。秘められた場所に視線を感じて、おかしくなりそうだった。もうどうにでもなればいい。

 意図的に気をそらし、あまり感じないようにしていたが、却ってそのせいで相楽は躍起になって凛子を攻め立てる。
 体を重ねていくうちに、心まで変わってしまうものなのだろうか。いや、おそらくとっくに牽かれていたに違いない。認めるのが怖かっただけで。

 相楽は飢えた獣のように、余裕のない様で凛子を求めた。まだ日は浅いというのに日に日に悦びに目覚めていく体に引きずられるように、心も相楽に奪われていく。交わるほどに相楽を思う気持ちが強くなる。

 ただそういった思いを言葉や態度には出さず、心を閉ざしたままの凛子に相楽は苛立ったように、欲をぶつける。

 抱かれていると、相楽の凛子への愛情は嘘ではないように思えた。だからこそ寂しいのだと、自分だけを愛してほしいのだと言葉にしたくなる。けれどできなかった。

 あまり夢中にならないよう気をつけていても、却ってそれが相楽を躍起にさせてしまうようだった。
 もうどこがいいか、どうしたら凛子が悦ぶか知られている。

「剥くよ」

 いつものように指でなぶり、皮を引き上げむき出しになったそこに相楽がむしゃぶりついた。痛みと限りなく近い鮮烈な刺激だ。

「いや、それいやぁ」

 耐え難い羞恥と快楽でむせび泣く。
 真一郎との淡い初恋とは、全く違う男女の情愛というものを知ってしまった。

「嫌なの? 本当に?」
「怖い」

 自分を守っている固い殻が破れ、むき出しになっていくような感覚だった。
 音がするほど、吸い付かれると理性など吹き飛んでしまう。
 一滴も漏らすまいと凛子の秘部に吸い付く相楽の頭を抑え、深い絶頂に浸る。
 
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