純・情・愛・人
『役に立たなければ遠慮なく叩き出せばいい。広己を甘やかして情にほだされるなよ』
「わたし甘いかな」
取り繕って小さく笑い返しながら。ベッドに横になったままの心臓が大きく波打った。今のは本当は、宗ちゃんには全てお見通しで釘を刺されたのかと。
裏切るようなやましい気持ちは欠片もない。なのに底の底が靄がかって。
『来週はゆっくりお前の顔を見に帰る』
「ほんとに・・・っ?」
やっと会える。靄が一瞬で四隅に散らばった。
『薫を我慢させて、俺が我慢していないとでも思ったか』
不敵な気配。
『覚悟しておくんだな。俺の気が済むまで離してやれないぞ』
ああ。宗ちゃんはやっぱり太陽だ。広くんがどんなに強い風になって吹き付けても、黒い雲になって覆い尽くしても、絶えることなくそこに在り続ける、わたしの太陽。
ずっと声しか聞けなくて寂しくて。太陽が翳っていたから、気持ちが弱って根元を揺らされただけ。
「宗ちゃん」
名前を呼べる喜び、希望を噛みしめて。
「宗ちゃんといさせてくれてありがとう。わたしを好きでいてくれて、ありがとう」
『・・・その科白は最期まで取っておけ、薫』
スマートフォン越しに包まれる甘さがくすぐったかった。
確かに見えた。最後まで宗ちゃんを愛して死ぬ、ささやかで誇らしい未来が。
掌の上に。
「わたし甘いかな」
取り繕って小さく笑い返しながら。ベッドに横になったままの心臓が大きく波打った。今のは本当は、宗ちゃんには全てお見通しで釘を刺されたのかと。
裏切るようなやましい気持ちは欠片もない。なのに底の底が靄がかって。
『来週はゆっくりお前の顔を見に帰る』
「ほんとに・・・っ?」
やっと会える。靄が一瞬で四隅に散らばった。
『薫を我慢させて、俺が我慢していないとでも思ったか』
不敵な気配。
『覚悟しておくんだな。俺の気が済むまで離してやれないぞ』
ああ。宗ちゃんはやっぱり太陽だ。広くんがどんなに強い風になって吹き付けても、黒い雲になって覆い尽くしても、絶えることなくそこに在り続ける、わたしの太陽。
ずっと声しか聞けなくて寂しくて。太陽が翳っていたから、気持ちが弱って根元を揺らされただけ。
「宗ちゃん」
名前を呼べる喜び、希望を噛みしめて。
「宗ちゃんといさせてくれてありがとう。わたしを好きでいてくれて、ありがとう」
『・・・その科白は最期まで取っておけ、薫』
スマートフォン越しに包まれる甘さがくすぐったかった。
確かに見えた。最後まで宗ちゃんを愛して死ぬ、ささやかで誇らしい未来が。
掌の上に。