純・情・愛・人
宗ちゃんは知らない。
宗ちゃんに振り向いてもらいたくて追いかけていた頃は、無邪気でひたむきだった。想いが叶って、困らせたくなくて。聞き分けのいい子になるのが愛だと信じた。
宗ちゃんは知らない。
泣いたり怒ったり、広くんの前ではこんなにも素の感情をさらけ出してしまうこと。わたしを掬ってくれる見えない手が、宗ちゃんの掌の温もりより大きく感じていること。
どうすればいいんだろう。大地を跡継ぎにするのを考え直してくれさえすれば、わたしは一点の曇りもなく宗ちゃんを愛し続ける。ずっと宗ちゃんの花でいられる。
跡継ぎにしたくないと拒んだら。宗ちゃんはどうするだろう。わたしに裏切られたと思うだろうか。わたしの愛は偽りだと嘲るだろうか。
せめぎ合う。軋む。歪む。心臓が張り裂けそう。
大地を失いたくない。宗ちゃんを失いたくない。
広くんの気持ちを利用したくない。助けてほしい。
「・・・・・・ごめ、・・・なさ」
「謝る意味が分かんねぇよ」
一瞬黙った彼が腕を解くと、うんざりした溜息を吐き、わたしの濡れた頬を手の腹で少し乱暴に拭った。
「お前は俺にして欲しいことだけ言え。大地を渡したくねぇんだよな?」
宗ちゃんに振り向いてもらいたくて追いかけていた頃は、無邪気でひたむきだった。想いが叶って、困らせたくなくて。聞き分けのいい子になるのが愛だと信じた。
宗ちゃんは知らない。
泣いたり怒ったり、広くんの前ではこんなにも素の感情をさらけ出してしまうこと。わたしを掬ってくれる見えない手が、宗ちゃんの掌の温もりより大きく感じていること。
どうすればいいんだろう。大地を跡継ぎにするのを考え直してくれさえすれば、わたしは一点の曇りもなく宗ちゃんを愛し続ける。ずっと宗ちゃんの花でいられる。
跡継ぎにしたくないと拒んだら。宗ちゃんはどうするだろう。わたしに裏切られたと思うだろうか。わたしの愛は偽りだと嘲るだろうか。
せめぎ合う。軋む。歪む。心臓が張り裂けそう。
大地を失いたくない。宗ちゃんを失いたくない。
広くんの気持ちを利用したくない。助けてほしい。
「・・・・・・ごめ、・・・なさ」
「謝る意味が分かんねぇよ」
一瞬黙った彼が腕を解くと、うんざりした溜息を吐き、わたしの濡れた頬を手の腹で少し乱暴に拭った。
「お前は俺にして欲しいことだけ言え。大地を渡したくねぇんだよな?」