純・情・愛・人
「お父さんから広くんが戻ってくるって聞いた」
レイヤーの入ったストレートヘアを自分のじゃない長い指先が掬って、ドライヤーの風を当ててくれていた。洗面化粧台の三面鏡の中で目が合い、上半身裸の宗ちゃんが口角を上げてみせる。
「広己にも、永征会の柱になってもらう頃合いだ」
「会うの久しぶり」
「顔を合わせたくないか?」
冷たくされた理由が分からなかった話は前に打ち明けていた。
「気にするな、放っておけばいい」
「でも話せるなら話したいと思って。・・・広くんが嫌ならしょうがないけど」
宗ちゃんは手を動かしたまま少し黙った。
「また泣かされるのが落ちかもしれないぞ」
「そしたら宗ちゃんに慰めてもらう」
「・・・ああ。存分にな」
温かい風が止んだ。
鏡越しに釘付けになった。淡い微笑みと、掬い取ったわたしの髪に口付ける艶めかしい仕草に。
レイヤーの入ったストレートヘアを自分のじゃない長い指先が掬って、ドライヤーの風を当ててくれていた。洗面化粧台の三面鏡の中で目が合い、上半身裸の宗ちゃんが口角を上げてみせる。
「広己にも、永征会の柱になってもらう頃合いだ」
「会うの久しぶり」
「顔を合わせたくないか?」
冷たくされた理由が分からなかった話は前に打ち明けていた。
「気にするな、放っておけばいい」
「でも話せるなら話したいと思って。・・・広くんが嫌ならしょうがないけど」
宗ちゃんは手を動かしたまま少し黙った。
「また泣かされるのが落ちかもしれないぞ」
「そしたら宗ちゃんに慰めてもらう」
「・・・ああ。存分にな」
温かい風が止んだ。
鏡越しに釘付けになった。淡い微笑みと、掬い取ったわたしの髪に口付ける艶めかしい仕草に。