純・情・愛・人
追いかけて、すがって引き留めて、なにを赦してもらえばいいの?

宗ちゃんが待っているのは、宗ちゃんだけを愛する薫、どこまでも宗ちゃんに寄り添い続ける薫。約束を破った薫はそばにいる資格がない。赦される資格なんてない。

本当はどれが正解だったのか分からない。宗ちゃんも広くんも誰も傷付けない未来があったんじゃないか、間違ったんじゃないか。

押し寄せて、自分を飲み込んでいく無限の後悔に堪えきれず、顔を覆った。

今すぐ息の根を止めてしまいたいほどの苦しさも全部、宗ちゃんの望みを叶えてあげられなかった罰だから。全部わたしの我がままだから。見捨てられて当然のことをしたんだからっっ。

心臓が千切れる。千切れて、欠けて、もう二度と元に戻らない。戻らない。宗ちゃんとは二度と戻れない。生きていける気がしない。

こんなにも愛したひとを失いたくなんかなかったのに・・・!!

声にならない声で叫んだ。嗚咽した。最後の最後で、折れて崩れかけた。

「兄貴に捨てられただの、下らねぇこと思ってんじゃねぇよ」

ふいに体を引き寄せられ、腕の中に閉じ込められる。

力は遠慮なかったのに、素っ気ない声はどこかわたしを労わるように。広くんはそういうひとだった。
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