純・情・愛・人
「極道とカタギで帳尻が合うわけねぇだろが。しょうがねぇんだよ、バーカ」
ぬるい慰めは言わない。無造作に包帯を巻き付けて“傷口”を縛ってくれる、・・・そういうひと。
「カオルも今はアタマが回んねぇやな。悪ィなカズ、ここいらでお開きにしようや」
「俺に相談も無しで勝手に婿入りとは、呆れて物も言えねぇよ。大も一枚噛んでたんじゃねぇのかい」
「その話はあとでゆっくりサシで付けら」
苦さを滲ませたおじさんと、親心を滲ませるお父さんのやり取りに、広くんが低く間を割って入った。
「親父さんは関係ねぇよ、勘当でもなんでも好きにしやがれ」
「たかが兄弟喧嘩でいちいち勘当してりゃ、切りねぇが」
小さい子をあしらうように、おじさんがせせら笑った気配。
「大の言うとおり、いったん仕切り直そうかい。俺も娘に泣かれるのは弱くていけねぇな」
最後は戻った優しい口調に、胸元から顔を上げようとすると、閉じ込められていた腕が緩んで広くんと視線がぶつかる。
弾かれたように逸らし、頬を拭っておじさんの方を向いた。
「なぁ薫。差し出がましい口を利くが、お前には宗吾が染みついちまって取れやしねぇだろう。どうしようもなくなったら気兼ねは要らねぇよ。全部水に流して、俺が丸くおさめてやるさ」
ぬるい慰めは言わない。無造作に包帯を巻き付けて“傷口”を縛ってくれる、・・・そういうひと。
「カオルも今はアタマが回んねぇやな。悪ィなカズ、ここいらでお開きにしようや」
「俺に相談も無しで勝手に婿入りとは、呆れて物も言えねぇよ。大も一枚噛んでたんじゃねぇのかい」
「その話はあとでゆっくりサシで付けら」
苦さを滲ませたおじさんと、親心を滲ませるお父さんのやり取りに、広くんが低く間を割って入った。
「親父さんは関係ねぇよ、勘当でもなんでも好きにしやがれ」
「たかが兄弟喧嘩でいちいち勘当してりゃ、切りねぇが」
小さい子をあしらうように、おじさんがせせら笑った気配。
「大の言うとおり、いったん仕切り直そうかい。俺も娘に泣かれるのは弱くていけねぇな」
最後は戻った優しい口調に、胸元から顔を上げようとすると、閉じ込められていた腕が緩んで広くんと視線がぶつかる。
弾かれたように逸らし、頬を拭っておじさんの方を向いた。
「なぁ薫。差し出がましい口を利くが、お前には宗吾が染みついちまって取れやしねぇだろう。どうしようもなくなったら気兼ねは要らねぇよ。全部水に流して、俺が丸くおさめてやるさ」