純・情・愛・人
いっそ命令でしか動かない本物の人形になってしまいたかった。心が空っぽでも笑えるから。
獣のように容赦なく、白濁の熱を放ってわたしを沈めるこの重みすら感じない、ただの人形になりたかった。
「薫・・・起きろ」
ようやく解放されて、とっくに躰は限界を越えていた。いつ落ちたのかも、おぼろ気な意識を引き摺り戻され、のろのろと従う。
「広己に会わせてやろう。これが最後だ」
サスペンスドラマのワンシーンかと思う科白も、まぎれもない現実。バスローブをまとった宗ちゃんに手首を掴まれると、露わな姿でリビングに連れて来られる。
扉を押し開けた瞬間。頭から麻袋を被せられ、パイプ椅子に座らせて後ろ手に縛られている無惨な光景が目に飛び込み、思わず声を上げていた。
「広くんッッ」
「・・・薫子か?この俺が迎えに来てやったんだ、ありがたく思えよ・・・?」
酷い仕打ちを受けているのに口ぶりはいつも通りで、だけど呼吸が荒く聞こえた。
出かけた時と同じ三つ揃い、捩れたネクタイがまるで首から下がる縄に見えた。どこか怪我しているのかもしれない。駆け寄ろうとして出来なかった。
「宗ちゃん、広くんに何かした?」
手首に食い込む宗ちゃんの指。
「死にはしない程度にな。俺の女に手を出せばこうなるのを、教えてやったまでだぞ」
「わたしが広くんに頼んだの、大地を跡取りにしたくなくて・・・!広くんのせいじゃない、全部わたしがっっ」
獣のように容赦なく、白濁の熱を放ってわたしを沈めるこの重みすら感じない、ただの人形になりたかった。
「薫・・・起きろ」
ようやく解放されて、とっくに躰は限界を越えていた。いつ落ちたのかも、おぼろ気な意識を引き摺り戻され、のろのろと従う。
「広己に会わせてやろう。これが最後だ」
サスペンスドラマのワンシーンかと思う科白も、まぎれもない現実。バスローブをまとった宗ちゃんに手首を掴まれると、露わな姿でリビングに連れて来られる。
扉を押し開けた瞬間。頭から麻袋を被せられ、パイプ椅子に座らせて後ろ手に縛られている無惨な光景が目に飛び込み、思わず声を上げていた。
「広くんッッ」
「・・・薫子か?この俺が迎えに来てやったんだ、ありがたく思えよ・・・?」
酷い仕打ちを受けているのに口ぶりはいつも通りで、だけど呼吸が荒く聞こえた。
出かけた時と同じ三つ揃い、捩れたネクタイがまるで首から下がる縄に見えた。どこか怪我しているのかもしれない。駆け寄ろうとして出来なかった。
「宗ちゃん、広くんに何かした?」
手首に食い込む宗ちゃんの指。
「死にはしない程度にな。俺の女に手を出せばこうなるのを、教えてやったまでだぞ」
「わたしが広くんに頼んだの、大地を跡取りにしたくなくて・・・!広くんのせいじゃない、全部わたしがっっ」