純・情・愛・人
純・恋・花(番外編)
子供の成長は本当にあっという間で。大学までエスカレーター式の同じ私立に通うふたりは、大地が中等部の三年生、日奈が一年生。どっちも部活は弓道部を選び、大地は二年生のときから副部長を任されていた。

大会成績はともかくとして、練習に明け暮れる本人達をサポートをしながら、広くんと見守っている日々。小学生ほど手もかからなくなってパートでも探そうかと思ったのに、広くんはにべもない。

『俺の稼ぎで足りてねぇのか』

・・・十分すぎるけど、そういうことじゃないんだけど。

結局、専業主婦を継続中のある日。かかってきた電話の相手は朝倉君だった。

『昼メシでも食わね?』

岸川組に骨を埋めるつもりらしい彼と広くんは、友人のような兄弟のような付き合いが変わらない。わたしと彼は友人というよりは、やっぱり同級生、かもしれない。

待ち合わせは、五年前に実家を建て替えて引っ越した我が家から、自転車でも遠くないファミリーレストラン。実はマンションにはお父さんが住んでいて、今でもお互いに行ったり来たり。親子喧嘩した大地がおじいちゃんちに家出なんてことも。

気持ちのいい初夏の風を切りながら、十五分ほどのサイクリング。先に来ているはずの朝倉君を窓際の席に見つけ、気付いた。ソファ仕様のイスに隣り合って、誰かもう一人いる。
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