純・情・愛・人
「来週の土曜、広己が世話になった岸川組の伯父貴の娘と会う」
上着を羽織って外まで見送りに出ると、門扉を押し開きながらコート姿の宗ちゃんが半身振り返る。玄関灯の明かりに仄かな微笑が滲んで見えた。
「済んだら三人で飯でも食べて、親父さんに挨拶するつもりだったんだがな。近い内にあらためて席を用意すると伝えてくれるか」
「・・・うん」
「見合いの話を親父の口から聞かせて悪かった」
「ううん・・・」
「薫は俺を信じるだけでいい」
「うん」
「あの誓いを忘れていないな?」
「うん・・・っっ」
「いい子だ」
伸びてきた腕に腰を引き寄せられ、唇が深く重なった。さっきまで冷たくまとわり付いていた夜気は、切なさの生む熱でそばから蒸発していく。
上着を羽織って外まで見送りに出ると、門扉を押し開きながらコート姿の宗ちゃんが半身振り返る。玄関灯の明かりに仄かな微笑が滲んで見えた。
「済んだら三人で飯でも食べて、親父さんに挨拶するつもりだったんだがな。近い内にあらためて席を用意すると伝えてくれるか」
「・・・うん」
「見合いの話を親父の口から聞かせて悪かった」
「ううん・・・」
「薫は俺を信じるだけでいい」
「うん」
「あの誓いを忘れていないな?」
「うん・・・っっ」
「いい子だ」
伸びてきた腕に腰を引き寄せられ、唇が深く重なった。さっきまで冷たくまとわり付いていた夜気は、切なさの生む熱でそばから蒸発していく。