純・情・愛・人
4-1
「おかえりなさい宗ちゃん。お疲れさま」
「ああ。こっちは土産だ」
着ていたスーツの上着を受け取った代わりに、紙の手提げ袋を手渡された。中を覗くとお弁当サイズの風呂敷包みが。
「そこの鰻は美味いぞ。・・・最近、疲れてるだろう。薫はなんでも生真面目すぎるからな」
「五月病かも。ちょっと調子が悪いだけだから」
「無理をするな。たまには手を抜けばいい」
「うん、・・・そうするね」
軽くキスを交わし、襟元からネクタイを抜き取りながら浴室に向かった宗ちゃん。
もう十二時を回って、明日の夜ご飯に決定したうな重を冷蔵庫に仕舞い、バスタオルや着替えを用意する。わたしはとっくにお風呂も済ませ、電話がなければ寝るところだった。
ゴールデンウィークが明けてからも宗ちゃんは、何もなかったようにここに帰ってきてくれる。今までどおりの、何も変わっていない優しい眼差し、声、指先。
岸川琴音さんと沖縄に行った事実を、宗ちゃんが告白することはない。わたしも、知っているという事実を封印した。あの日に交わした、指輪の誓いを楔にして。
すべてを曝け出したら壊れてしまうものもある。守りたいだけ。きっと宗ちゃんも。・・・そう強く言い聞かせて。
「ああ。こっちは土産だ」
着ていたスーツの上着を受け取った代わりに、紙の手提げ袋を手渡された。中を覗くとお弁当サイズの風呂敷包みが。
「そこの鰻は美味いぞ。・・・最近、疲れてるだろう。薫はなんでも生真面目すぎるからな」
「五月病かも。ちょっと調子が悪いだけだから」
「無理をするな。たまには手を抜けばいい」
「うん、・・・そうするね」
軽くキスを交わし、襟元からネクタイを抜き取りながら浴室に向かった宗ちゃん。
もう十二時を回って、明日の夜ご飯に決定したうな重を冷蔵庫に仕舞い、バスタオルや着替えを用意する。わたしはとっくにお風呂も済ませ、電話がなければ寝るところだった。
ゴールデンウィークが明けてからも宗ちゃんは、何もなかったようにここに帰ってきてくれる。今までどおりの、何も変わっていない優しい眼差し、声、指先。
岸川琴音さんと沖縄に行った事実を、宗ちゃんが告白することはない。わたしも、知っているという事実を封印した。あの日に交わした、指輪の誓いを楔にして。
すべてを曝け出したら壊れてしまうものもある。守りたいだけ。きっと宗ちゃんも。・・・そう強く言い聞かせて。