愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~
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千賀子とお祝いをした翌日、南は迎えにきた碧唯とともに母と妹に見送られて、長く住んだアパートをあとにした。
ふたりが新生活をスタートするのは東京湾を近くに臨む低層のマンションである。
シックな佇まいの建物の前には桜など緑豊かなオープンペースがあり、都心にいながら四季を感じられるのはうれしいポイントだ。
二十四時間対応のコンシェルジュ、居住者専用のプールやフィットネスまで完備した贅沢な住まいは、もちろんセキュリティも万全である。
碧唯は数日前に完全に引っ越しを終え、南は最後に大きなダンボールをひとつだけ持参してきた。中には今朝まで必要だったコスメ類などの細々したものと、土壇場までどうするか迷っていたものが入っている。
「これ、ずいぶん軽いけど、なにが入ってるんだ?」
コンシェルジュにカートを借りたが、載せるまでもなかった。
「あ、うん、化粧品とかその他もろもろ」
適当に誤魔化して、リビングの隅に置いてもらった。