愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~

近所の人たちだろうか、それほど人出は多くないが、賑やかな声や屋台から漏れる自家発電の音がしていた。
小さな神社の小さな夏祭りだ。


「ちょっと寄っていかない?」
「食べたばかりなのに?」
「食べるのが目的じゃなくて雰囲気を味わいたいの。ね? 行こう」


碧唯の手を引っ張り、鳥居をくぐった。


「ね、碧唯くん、高校生の部活の大会で地方に行ったとき、みんなでお祭りに繰り出したの覚えてる?」
「ああ、そういえばあったな」


好成績を収めたご褒美に、顧問の先生が連れていってくれたのだ。


「今夜は先生のおごりだ!って散財してくれたんだよな」
「そうそう。みんな遠慮なしにいろんなものを食べたよね」
「射的の屋台では片っ端から景品をゲットして嫌がられたけどな」
「そうだったね」


弓道部員の真価が問われるため、狙った的は外せない。しかも景品は当時大人気だったアニメのグッズ。
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