愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~

大会並みにみんなが真剣だった。
焼きそばにタコ焼き、じゃがバターにイカ焼きなど、食欲を誘う匂いにつられるようにして思い出話に花が咲く。その中に懐かしいものを見つけて思わず足を速めた。


「あっ、りんご飴!」


夏祭りの定番スイーツを発見してテンションが上がる。碧唯を引き連れて屋台の列に並んだ。
飴がけしたツヤツヤしたりんごは、見た目からしてかわいい。


「食べる気か? 雰囲気を味わいたいだけと言っていたのは誰だった?」
「見たら食べたくなったの」


食欲はお腹の減り具合だけでなく、目からも沸くものらしい。
碧唯がクスッと鼻を鳴らして笑う。


「碧唯くん、覚えてる? 私が先生に買ってもらったりんご飴、落として台無しにしちゃったの」
「そうだったな。あのときの南の落ち込みようといったらなかった」


碧唯が屋台に買いに走ったが、すでに閉店。買えなかった悲しい思い出だ。
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