愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~
「こんなところに誰も来やしないよ。……それに誰に見られたって俺はかまわない。いっそ見せつけてやりたいくらいだ」
どことなく切実な声色と意味深な言葉が、南の瞳を揺らす。
(碧唯くん、もしかして私を好き、なの……? ――ううん、まさか)
意味を図りかねて一瞬浮かんだ疑惑は、すぐに打ち消した。
碧唯は南が友達だから、この結婚を推し進めた。
そこにあるのは愛情ではなく友情。離婚も辞さない構えの彼が、南を好きなはずはないのだから。
そう否定した途端、胸の奥が鈍い痛みを感じた。
「南」
思考の狭間に揺らいでいた意識を碧唯が強制的に呼び戻す。
囁くように名前を呼んですぐ、再び南に唇を重ねた。
たぶん今度は触れるだけでは済まされない。
そう予感した通り、碧唯は南の唇を尖らせた舌でくすぐりながら割った。
りんご飴で甘く潤った口腔内を碧唯の舌がかき混ぜ、南の舌を絡めとる。ぬらりとした卑猥な感触が南の背筋を痺れさせた。