愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~
「は、はい」
言われるままに腰を下ろすと、彼は手にしていたミネラルウォーターのペットボトルのキャップを開けた。
「南も飲むか?」
「ちょっとほしい」
緊張して喉がカラカラだ。
すぐにくれるのかと手を出したが、碧唯はまず自分で口をつけた。
ゴクゴクと喉を鳴らす彼を横目にしながらおとなしく順番待ちしていると、不意に視界が反転する。
「――っ!?」
押し倒されたのだと気づいたのは、ほどよくスプリングの効いたベッドマットを背中に感じたときだった。
「碧唯く――」
びっくりして呼ぼうとした名前が彼のキスで掻き消される。薄く開いたままだった唇の隙間から水が流し込まれてきた。