愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~
「んんっ……」
彼の体温が体の奥深くに流れ込んだように感じさせる生温かさが濫りがわしい。飲み込むのが間に合わず、わずかに口の端から溢れた水がうなじを伝う。
碧唯はそれを舌ですくい上げ、至近距離で笑みを浮かべた。
エロティシズムに色塗られた眼差しから目を逸らせない。性的興奮を煽るように、碧唯は南の唇をペロッと舐めた。
「りんご飴を食べなくても、南の唇は甘いな」
「そ、そうかな」
おどけて返そうとしたが、うまい言葉が見つからない。
この後の展開が見えているから、鼓動を制御するのに精いっぱいなのだ。しかし、それすらコントロールできていない。
拘束された両手に碧唯が力を込める。
「覚悟はいいか」
問いかけておきながら、その目は答えを求めてはいない。煽情的な瞳が南を見下ろした。