愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~
碧唯の執念が勝ったのか、それともその男とは縁がなかったのか。ロマンジュで久しぶりに飲もうと落ち合った。
『それほど落ち込んでないのよ?』
そう言って笑うが、強がりにも見えた。
『俺にすれば?』
思いきった告白まがいの言葉は南に一蹴される。
『友達とは付き合えません』
その言葉は、どんな刃よりも鋭く碧唯の心を刺した。
笑顔で排除するとは、なかなか残酷だ。
『……冗談だ。真に受けるな』
しかし無様に振られるわけにはいかない。茶化して誤魔化す以外になく、モスコミュールのグラスを空にして笑い返した。
自分の滑稽さが身に染みて、柄にもなく心がヒリヒリする。