愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~

我ながら無理のある〝プロポーズ〟だったが、アルコールの作用も手伝い、南の説得に成功した。

そうと決まれば、早く動くに越したことはない。一時帰国しているうちに南の母親に挨拶を済ませ、結婚に向けて早々に動きだした。

イタリアに誘い、友達から恋人にシフトチェンジを図っていく時間も作った。

焦らず、じっくりと。

逸る気持ちをコントロールするために、碧唯がどれほどの試練を乗り越えたか南はきっと知らない。

およそ一カ月に及ぶ遠距離恋愛を経て、ようやく日本に帰還を果たし、碧唯の両親にも紹介して入籍。新居でふたりの生活をスタートさせた。

そこまでは完璧だった。計画通りと言っても過言ではない。

エンゲージリングとエターナルリングを渡し、幸せいっぱいの南の顔を見られた。
神社の縁日で昔話に花を咲かせ、楽しい時間を共有した。
どこからどうみても新婚夫婦そのもの。月明かりの下、交わした甘いキスで南の気持ちに変化が生じているのを確信した。

友情が愛情に変わるとき。今夜がきっとそうだと胸を高鳴らせた。
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