愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~

今度は急に真顔で自分を推薦してきた。
いきなりどうしたのだろうか。


「俺ならお前にそんな顔はさせない」
「や、やだな、部長。冗談はやめてください」
「冗談で言ってない。ひたむきに仕事をする倉科を見てきて、ずっとかわいいなって思ってた」
「待ってください。突然そんな……。私は――」


〝夫を愛していますから〟と言おうとしたそのとき、南と沖山の間に背の高い人影が割り込んだ。

(――えっ、碧唯くん!?)

見覚えのある後ろ姿が南の前に立ちはだかる。


「既婚者を口説くとはどういうつもりですか。この指輪が目に入りませんか?」
「あ、いや……」


碧唯は南の左手を取り、怯む沖山の前に突き出した。
これまでにないほど冷ややかな声と非情な目に、南までたじろぐ。


「ち、違うの。そんなんじゃないから」


慌てて仲裁に入るが、碧唯は引かない。
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