愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~
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タクシーを飛ばし、南は実家にやって来た。
途中、彼から何度も着信があったが、冷静に話せる気がしなくて出られなかった。
「ただいま」
自分で鍵を開けて玄関に入ると、母の雅美がびっくりして出迎えた。
「亜矢が帰ってきたのかと思ったわ。南だったのね」
「うん、ちょっと寄ってみたの」
「仕事の帰り? とにかく中にいらっしゃい」
雅美にリビングに誘われ、バッグを置いてラグの上にペタンと腰を下ろす。テーブルに冷えた麦茶が出された。
「こんな時間まで仕事なんて大変ね。少し痩せたんじゃない?」
顔を覗き込みながら隣に座る。
「そうかな。体重は変わらないよ」
「そう? まぁあまり無理はしないでね」