愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~
理由も聞かずにあたたかく迎え入れてくれた母とゆっくりお茶を飲みながら世間話をする。亜矢は友人と夕食をとってくるらしく、今夜は帰りが遅いらしい。
「で、碧唯さんとなにがあったの?」
「……え?」
「なにかなければこんな遅い時間に実家に来たりしないでしょ?」
さすが母親である。なにも聞かなくても、娘の行動の理由が読めてしまうみたいだ。
優しい目で見つめられ、張っていた気持ちが途端に緩む。
甘えたい気持ちと一緒に、どことなく真剣な様子の雅美の顔を見て、笑い飛ばして誤魔化すのは違うような気がした。
「お母さん、じつはね……」
ふたりの結婚の真相を正直に打ち明けた。同時に、南の心に起こっている変化も包み隠さずに。
自分の気持ちを吐き出すことで、彼への想いがより深まっていく。考えている以上に、南の心が碧唯を求めているのがわかった。
「南を悩ませる原因を作ったのはきっとお母さんね。お父さんとあんな結末になったから」