愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~
「ここに挨拶にきたときの碧唯さんの南を見る目は、どこからどう見ても愛情に満ちていたわ。南がどことなく及び腰だったのが気になっていたんだけど」
最後の言葉にギクッとする。
見破っていたとは、さすが母親である。
「……バレてたの?」
「なんとなくね。なんにしても南は自信を持って自分の気持ちをしっかり碧唯さんに伝えなさい。言葉にしなきゃ、その半分も相手には伝わらないんだから」
心の中でいくら想いを育てていても、それが伝わらなきゃ話にならない。
碧唯の南に対する想いがどうであれ、自分の気持ちはきちんと伝えるべきだろう。仮にも夫なのだから。
仮にそれでふたりの婚姻関係の継続が難しくなったとしても、自分の気持ちを偽ったままではいられない。
「わかった。そうするね」
「今夜はもう遅いから泊まっていくといいわ。でも碧唯さんにはきちんと連絡してね」
雅美は南を諭し、「お風呂に入ってきちゃうわね」と立ち上がった。