愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~

南が碧唯に電話しやすいようにしてくれたのだろう。
その厚意に応えるべく、バッグからスマートフォンを取り出す。マンションを飛び出してから、碧唯の着信履歴は二十件を超えていた。

名前をタップし耳にそっとあてると、ワンコールもしないうちに彼が出た。


《南、今どこにいる?》


焦ったような声だった。


「実家にいます」
《そうか。よかった……》


安堵した声が耳に届く。着信の件数からも南を心配していたのは明白。あんな状況でマンションを飛び出せば当然だろう。


「ごめんね、碧唯くん」
《いや、無事ならそれでいい》
「……碧唯くん、明日の夜、話したいことがあるから時間取ってくれる?」


電話より、顔を見て直接話したい。


《俺も話がある》
< 187 / 267 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop