愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~

「マスター」


どことなく嗜めるような声色で碧唯がマスターを見た。
〝言わないでほしかった〟という空気が伝わってくる。

宮沢は口元を引きしめ、目線を少し下げて謝罪の意を表した。


「誰かと来てたの?」
「……ひとり」


〝ほんとに?〟という意味を込めて宮沢を見ると、軽く頷き返された。


「私を誘ってくれてもよかったのに」


ロマンジュはふたりを繋げてきた大事な場所だ。


「それじゃここへ寄る意味がない」
「碧唯くんの言っている意味がわからない」
「とりあえず飲もう」


碧唯の言葉に宮沢が「いつものでよろしいですか?」と反応する。
それに揃って「はい」と返した。
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