愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~

『今度こそ覚悟しておけよ』


体調を崩し、二度目の初夜が流れたときに碧唯から掛けられた言葉が、南を緊張させている。
ロマンジュで軽く飲み、夕食も済ませてマンションに帰ってきた南たちは、順番にお風呂に入ったところである。

今夜こそ正真正銘、ふたりが結ばれる。

そう考えるだけで先ほどから心臓は忙しなく高鳴り、早々に寝室のベッドに寝転んだ南はクマのぬいぐるみを抱えてあっちを向いたりこっちを向いたりと、落ち着かない様子でいた。

ドアが開いて碧唯が入ってくると、今度は呼吸のリズムが速まる。


「これは必要ない」


ベッドに腰を下ろした碧唯が南からクマを取り上げる。


「あっ!」
「コイツに抱いてもらうつもりか?」
「そうじゃないけど落ち着かなくて」
「そんなことに構っていられなくするから心配するな」
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