愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~
生涯愛すると誓いますか?
ふたりが心を通わせ合ってから二カ月半が過ぎていった。
お互いに仕事は忙しいものの、結婚当初のすれ違いが嘘のよう。毎日仲良く楽しくやっている。
十一月中旬、季節は秋の終わりに差しかかる頃。頬をくすぐる風にも時折冷たさを覚え、街を彩る街路樹も赤や黄色の色味を帯びてきた。
土曜日の午後、南は千賀子と小西の三人でおいしいパンケーキが食べられるカフェへ来ていた。
心地のいい風を感じようと丸テーブルのテラス席に陣取る。
「南の結婚式まであと少しだねー」
千賀子がホットカフェラテのカップに付いた口紅を指で拭いつつ呟く。
結婚式まで残り二週間、急ピッチで進めた準備もなんとか終わり、あとは当日を迎えるだけである。
「南のウエディングドレス姿、楽しみ」
「それまで太らないようにしなくちゃ」
「それなのにパンケーキ食いにきたのかよ」
「あ、ほんとだね」
小西に鋭く突っ込まれ肩をすくめる。
ここで摂取したカロリー分、マンションにあるジムで汗を流そうと心に決める。