愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~
「瀬那さんに絶対言うなよ? 特に南、言ったらただじゃおかないからな。ばらしたのが瀬那さんの耳に入ったらただじゃ済まされない」
小西は自分を掻き抱くようにして、ぶるっと身震いをした。
「い、言わないけど……」
そんなふうにして南を見守る――いや、見張っていたなんて考えもしなかった。
「なーんだ、そうだったのー」
息を詰めて聞いていた千賀子が、気が抜けたような声を出す。
「南は俺にとって友達以外のなにものでもない。瀬那さんには『南に惚れたり手を出したりしたら東京湾に沈める』って冗談交じりに脅されたけど」
「碧唯くん、物騒すぎる!」
「それくらい南を好きだったんだろ」
「うわぁ、南、愛されてるね」
普通に聞いていたら重い愛だが、相手が碧唯だから幸せにすら思える。そこまで想ってくれていたのだと、また新たに愛が深まるのを感じた。