愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~
南が答え合わせをするまでもなく、小西が名前を口にした。
「なっ、なによいきなり」
「いきなりって、全然気づかないから俺もそろそろ痺れを切らせただけ」
「だって南を好きだって思ってたから……」
それってもしかして。
「千賀子も、なの?」
長い間、友達として付き合ってきたからこそ、相手の想いに鈍感になる。
今ある関係を壊すのが怖くて、臆病になって、いつでも逃げだせる構えになってしまう。
自分の気持ちにふたをして、友達でいようと徹して、長い長い遠回り。
小西は口をぽかんと開けたまま固まっていた。
「よかったね、小西くん」
そう南が声を掛けてはじめて、彼の時間が再び動きだす。