愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~
披露宴を終え、南たちはリゾート内のヴィラへやって来た。
川のせせらぎに包まれた、隠れ家のような客室が点在するリゾートは、夕暮れを迎えて神秘的な色に満ちている。
赤や黄色に色づいた山間の木々がヴィラからも見え、上質な部屋に飾られた一枚の絵画のよう。とても美しい。
スイート仕様となった部屋には露天風呂もある贅沢な造り。一泊では堪能しきれないほど豪華だが、その反面とても木のぬくもりに溢れた落ち着く内装になっている。
「やっとふたりきりになれた」
部屋に入るなり碧唯に背中から抱きしめられた。
「普段からふたりきりなのに」
クスクス笑いながら碧唯のほうに体を反転させる。
「揚げ足を取るな」
額と額をコツンとぶつけ合い、瞳の中にお互いを映し合う。
まるでこの世にふたりしかいないように錯覚してしまう。