愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~
「……じつは付き合ってないの」
さすがに叱られるのではないかと小声になる。
《えっ? それじゃ今流行りの交際ゼロ日婚!?》
今日はいろんな人たちを驚かせてばかりだ。
彼女は今日何度目かの素っ頓狂な声をあげた。
「流行ってるの?」
《芸能人でも結構いるよ。ワイドショーでたまにやってる》
たしかにそういうネットの記事なら見た。芸能人にあまり興味がないため、クリックしてまで読みはしないけれど。
《でも南と瀬那さんなら、わからなくもないかも》
「どういう意味?」
《高校のときからなんとなくいい雰囲気だったんだよね、南と瀬那さんって》
「え? そう?」
そんな自覚は全然ない。もしもそう見えたのだとしたら、小学校時代をお互いに知っているからだろう。親近感だ。