愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~
「南、こっち」
彼に手招きをされ、アンティーク調の扉のエレベーターに乗り込んだ。
「ね、碧唯くん、夕食はどうする? 荷物を置いたら外に出る?」
飛行機でも軽食は出たからそこまで空腹は覚えていないが、夜のローマに繰り出すのもいい。
「長時間のフライトで疲れただろう? 簡単なものでよかったら俺が作るよ」
驚くべき提案が彼の口から飛び出した。
「碧唯くん、料理するの!?」
思わず目を丸くして彼を凝視する。友人付き合いは長いのに初めて知った事実だ。
「そんなにびっくりすることか? ひとり暮らしが長ければ必然的にやらざるを得ない。もともと嫌いなほうではないしね」