愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~
家事全般を母親に頼りがちな南には耳が痛い。料理は嫌いではないけれど、自分だったらひとり暮らしをしてもテイクアウトや外食で済ませてしまうのではないか。
「すごいね。ほんとに優良株だ」
千賀子の言った通りである。
ハイスペックイケメンなうえ料理もできれば、向かうところ敵なしだ。
「優良株?」
「あ、ううん、なんでもない」
南が首を振ると同時にエレベーターが止まった。
碧唯に先導されて歩く通路にはいたるところに絵画が飾られており、芸術の都はさすがだと感心しつつ、開けられた玄関のドアから中に誘われた。
「わぁ……!」
感嘆の声がお腹の底から漏れる。
玄関ホールから続く廊下、その先にあるリビングまで一直線に見通せ、白を基調とした壁と相まって空間の広がりを感じる。壁と同系色の大理石のフロアはピカピカだ。
口が半開きになっていたと気づき、慌てて唇を引き結ぶ。