愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~

「穴が空いてるんだね」
「今から作るアマトリチャーナは、中が空洞になってるブカティーニを使うのが正式な材料なんだ」


碧唯によれば、イタリアで人気のあるトマト系のパスタといえばアマトリチャーナなんだとか。

それを茹でている間に豚の頬肉を塩漬けしたグアンチャーレを刻み、オリーブオイルで炒めはじめる。グアンチャーレから肉汁が出てきたところで白ワインを投入。アルコール分が飛んだらトマトピューレを入れて混ぜる。


「いい匂い」


トマトの酸味と肉の香ばしさが食欲をそそる。感じていなかったはずの空腹を覚えた。

そうしている間に茹で上がったパスタをフライパンで混ぜ合わせ、最後にペコリーノ・ロマーノ・チーズをかけて完成だ。
一連の作業に隙がなく、料理に慣れているのがわかる。手際がとてもいい。


「碧唯くん、すごいね」
「見なおしただろう」


胸を張り、口角を上げた顔は得意げだ。
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