愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~
南をじっと見ていた碧唯が微笑みを浮かべる。先ほど同様に誇らしげである。
「今さらだけど、碧唯くんって大使館でどういう仕事をしてるの?」
「本当に今さらだな」
碧唯がふっと鼻から息を漏らして笑う。
「簡潔に言うと、イタリアとの政治的な交渉事だとか経済的な連携を通して日本の平和と国民の安全を守ってる」
「……壮大だね」
碧唯はさらっと言っているが、かなり重大な仕事だ。なにしろ国を代表して諸外国と折衝するのだから。会社間とはわけが違う。
「具体的に言えばイタリアの治安や災害発生の情報を常に収集して、日本国民に速やかに伝えることかな。まぁあとは、イタリアで暮らす日本人が事件や事故などに巻き込まれたときに安否を確認したり、日本にいる家族に連絡を取ったりだとか」
「イタリアの要人とも会ったりする?」
「もちろん。日本を代表しているわけだからね」
「人生のステージが違いすぎて想像がつかない」
軽く首を振りながら椅子に背中を預ける。