愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~
おいしい夕食を終え、優雅なバスタイムを堪能したあと、南はリビングで所在なくソワソワしていた。
普段から薄化粧のためすっぴんを彼に見せるのは問題ないとしても……。
「なに緊張してんだよ」
じつに重大な難題にぶち当たっていた。
「私はどこで寝たら……いい?」
ボソボソと聞き取りづらい声で問いかける。
急にふたりきりの空間を意識してしまい、落ち着いていられない。
このアパートメントに寝室はひと部屋。イタリアに誘われたときには、きっとゲストルームでもあるのだろうと高をくくっていた。
そのあたりの事情を事前にしっかり聴取し、ホテルを取るべきだったと今頃になって後悔に襲われている。
「そりゃ、もちろん俺と一緒だろ」
獲物を捕獲するような目で、ぐいと顔を近づけられてのけ反る。