愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~
(男の人は好意がなくてもできるみたいだから、碧唯くんは平気なのかもしれないけど……)
頼りなく目線を彷徨わせていると、碧唯は苦笑いに近い表情で南との間合いを詰めた。
ポンと髪を撫でる。
「冗談。俺はソファで寝るから南はベッドを使えばいい」
「え……じょ、冗談? もう、やめてよ、碧唯くん」
真剣に悩んでしまったではないか。
大騒ぎしている心臓を宥めるように胸を撫で下ろす。
「でも、そうはいきません。私がソファを使います」
「こう見えて俺はフェミニストなんだ。南がベッドで寝ろ」
「それはダメ。ここは碧唯くんの部屋なんだから、主がベッドを使ってください」
押し問答を繰り返し、最後には「部屋の持ち主の命令だ」と言われ、反論できなくなる。
結果、碧唯はリビングのソファ、南は彼のベッドに寝ることが決定した。
「明日はホテルを取ろうかな」