愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~
一瞬で全身が硬直する。目を盛大に見開き、碧唯を見上げた。
一拍遅れて鼓動がスピードを上げはじめる。
「い、今の……」
かすかに甘さの滲む目線とぶつかり、それ以上言葉を続けられなくなる。
こんな目をする人だっただろうか。
やわらかいくせに男を感じさせるとでも言おうか。ものすごくセクシーだ。
少なくとも南はそんな彼を知らない。
「このくらいで焦ってたらその先に進めないぞ。それとも唇のほうがよかったか?」
「ち、違いますっ」
結婚を約束した相手のキスを拒むのはどうかと思うが、びっくりしたのだから仕方がない。
なにしろこれまで碧唯とはずっと友達でやってきたのだ。それでうまくいっていた。
その彼に額とはいえキスをされれば動揺してあたり前。……それも恋人を見つめるような熱くとろけるような目をして。
「子ども、作るんだろ?」
「そ、そうだけど、それは結婚してから!」