愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~

翌日、碧唯が作ってくれたフレンチトーストで朝食を済ませ、南はパーティーの身支度をしていた。

日本から持参したドレスに着替え、パウダールームの大きな鏡に映す。
ミモレ丈のノーカラーデザインで、生地を摘まんだリボン風のバックスタイルが可憐な印象だ。レースをあしらった白いシフォン素材のボレロが、ネイビーのドレスに華やぎもプラスする。

ちょうど先月友人の結婚式があり、それに合わせて購入していたのが幸いした。
今日のパーティーのために改めて買う時間的余裕はなかったが、事前に碧唯に写真を送ったところオッケーをもらえた。

長い髪をハーフアップにまとめ、いつもとは違って念入りにメイクをする。

相手が相手だけに手も気も抜けない。南の印象で碧唯の評価を下げるわけにはいかないのだ。


「これでいいかな」


最後にくるりと回転すると、アシンメトリーになった裾が足元で揺れた。

準備を完了してリビングへ行くと、先に支度を終えソファに座っていた碧唯が南に気づいて振り返る。
パチッと一度まばたきをしたあと南を無言で見つめるため、期待にそぐわない出来栄えだったかと不安が押し寄せた。
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