なぜか推しが追ってくる。
日常をぶち壊す転校生
▽
席について十秒も経たないうちにチャイムが鳴った。
武藤瑞紀による遅刻寸前チキンレース。本日は無事に勝利いたしました。
うちのクラスの担任はいつもチャイムが鳴る前から教室で待機していて、遅刻常習者のわたしをいつも見張っている。一秒でも遅れようものなら容赦なく遅刻認定してくるのだ。
だけど先生、今日はまだ来ていない。これなら走る必要なかったじゃんと少々後悔。
そして、遅れている理由はすぐに思い当った。
「そっか、転校生が来るんだ」
ずっと何もなかったわたしの席の隣に、昨日真緒が運び入れた机がある。
先生は漫画とかでよく見る、『さあ皆、席につけ。今から転校生を紹介するぞ。さ、入って』ってやつをやるために遅れてるんだな。間違いない。
そんなことを考えながら、わたしは手鏡片手にぼさぼさになった髪を直す。と、ようやく先生がやってきた。
「さあ皆、席につけ。今から転校生を紹介するぞ」
本当に言った。ちょっと笑ってしまう。
だけど先生は、それに予想していなかった一言を付け足した。それも一番後ろの席のわたしを見ながら。
「……武藤、頼むから叫ぶなよ」
「へ?」
「さ、入って」
席について十秒も経たないうちにチャイムが鳴った。
武藤瑞紀による遅刻寸前チキンレース。本日は無事に勝利いたしました。
うちのクラスの担任はいつもチャイムが鳴る前から教室で待機していて、遅刻常習者のわたしをいつも見張っている。一秒でも遅れようものなら容赦なく遅刻認定してくるのだ。
だけど先生、今日はまだ来ていない。これなら走る必要なかったじゃんと少々後悔。
そして、遅れている理由はすぐに思い当った。
「そっか、転校生が来るんだ」
ずっと何もなかったわたしの席の隣に、昨日真緒が運び入れた机がある。
先生は漫画とかでよく見る、『さあ皆、席につけ。今から転校生を紹介するぞ。さ、入って』ってやつをやるために遅れてるんだな。間違いない。
そんなことを考えながら、わたしは手鏡片手にぼさぼさになった髪を直す。と、ようやく先生がやってきた。
「さあ皆、席につけ。今から転校生を紹介するぞ」
本当に言った。ちょっと笑ってしまう。
だけど先生は、それに予想していなかった一言を付け足した。それも一番後ろの席のわたしを見ながら。
「……武藤、頼むから叫ぶなよ」
「へ?」
「さ、入って」