なぜか推しが追ってくる。

オフショットは尊い





「……へ、何て?」




恭くんが演劇部見学に来た数日後。

学校に着くなり、わたしはなぜか待ち構えていた恭くんにつかまった。


そしてとても良い笑顔で「今から舞台の稽古があるんだけど一緒に来ない?」と聞かれ、間抜けな声で聞き返したのだった。




「だから、もうすぐ俺が主演させてもらう舞台があるんだけど」


「もちろん存じ上げておりますとも。サトウレナ先生の少女漫画が原作のやつでしょ?」


「今その稽古の最中で」


「うん」


「見学に来ない?」


「だからその流れがわからないんですけど??」




そういう場は関係者以外をほいほい入れていいものじゃない。

高校の演劇部の見学に行くのとはわけが違うのだ。


……もちろん興味がないわけじゃないですが。

本番という完成したものだけでなく、まだ不完全で成長途上の推しも見たいという思いもある。すごくある。


だけ、どっ……!



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