なぜか推しが追ってくる。




恭くんはしれっとそんな答え方をした。


“まだ”って……。

前の告白まがいのやりとりは、「お互いをもっと知ろう」という結論でうやむやになったまま。


でも正直、わたしが恭くんの彼女になっている未来は見えていない。

やっぱり恭くんの気持ちは初恋の続きでしかないように思えるし、わたしに投影した初恋の子の幻想は近いうちに消えてしまう気がするのだ。



それでも。

少なくとも今はまだ消えていないということに、ちょっとだけ安心してしまった。




「へ~、恭の彼女じゃないなら連絡先聞いていい? 今度遊びに行こうよ。てかまず名前教えて」


「名前は武藤さん。連絡先は聞いちゃだめ。遊びに行くのもだめ」


「おいおい、彼女に聞いてるのに何で恭が答えるんだよ。そんな怖い顔すんなって……ねえ武藤ちゃんこんな嫉妬深い奴じゃなくて僕にしない?」




チャラい。

これは出会った女の子片っ端から声かけてるな。それで常に三人ぐらい彼女いるな。



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