なぜか推しが追ってくる。
うわ……歓迎されてないな。
まあ部外者の見学なんて邪魔なだけだから当然か。
でもこんな可愛い子に嫌われてしまうのはちょっとショックかもしれない。
「ま、いるだけで邪魔しないならどうでもいいけどね。早く始めましょ。あたし次の予定も詰まってるので」
原さんの言葉に各々が動き出す。
恭くんはそんな中でわたしにこそっと耳打ちした。
「この舞台、原さんの名前で集客を見込んでる部分があるから、皆いろいろ気を遣ってるんだ」
ああそうか。今回の舞台は、カリスマモデルでインフルエンサーの原麗華に新しい可能性を……という企画なわけだ。
何はともあれ、わたしは壁際に立って気配を消すことにした。