なぜか推しが追ってくる。
▼【天羽恭】
「『私は、ずっと自分が嫌いだった──』」
ヒロイン独白シーンの最初の台詞。
彼女がその一言目を読んだその瞬間に、周囲の空気が変わるのを肌で感じた。
監督もスタッフも役者も、そして原麗華までも……皆が目を見張って瑞紀ちゃんを見ている。
彼女が言葉を発するたび、場の色が変えられていく。
台本を読んでいるだけなのにこの威力。
……圧倒的すぎる。
ここは既に、小さなスタジオではない。たくさんの観客の目が集まる大きな舞台の上だ。
そして彼女にだけスポットライトが当たっている。
「っ……」
ああ、たまらない。
喜びとも興奮ともつかないゾクゾクとした感情が体中を駆け巡る。
……ほら、皆もっと見て。これが、俺の愛してやまない人だよ。
一昨日、彼女の所属する演劇部へ見学に行ったとき、部長に声を話を聞くと、こんな情報をくれた。
『武藤は部活のある日はよく早めに来て、誰かが来るまで台本を読みながらこっそり一人芝居してるんだ。それも信じられないぐらいレベルの高いやつをな。初めて見たときはさすがに驚いた』
「『私は、ずっと自分が嫌いだった──』」
ヒロイン独白シーンの最初の台詞。
彼女がその一言目を読んだその瞬間に、周囲の空気が変わるのを肌で感じた。
監督もスタッフも役者も、そして原麗華までも……皆が目を見張って瑞紀ちゃんを見ている。
彼女が言葉を発するたび、場の色が変えられていく。
台本を読んでいるだけなのにこの威力。
……圧倒的すぎる。
ここは既に、小さなスタジオではない。たくさんの観客の目が集まる大きな舞台の上だ。
そして彼女にだけスポットライトが当たっている。
「っ……」
ああ、たまらない。
喜びとも興奮ともつかないゾクゾクとした感情が体中を駆け巡る。
……ほら、皆もっと見て。これが、俺の愛してやまない人だよ。
一昨日、彼女の所属する演劇部へ見学に行ったとき、部長に声を話を聞くと、こんな情報をくれた。
『武藤は部活のある日はよく早めに来て、誰かが来るまで台本を読みながらこっそり一人芝居してるんだ。それも信じられないぐらいレベルの高いやつをな。初めて見たときはさすがに驚いた』