なぜか推しが追ってくる。



いや、確かにこんな時期に転校とか珍しいなとか思ってたけど。

芸能コースのある学校から何でわざわざごく普通の私立高校に来たんだろうとか思ったけど。

わたしがいるから、なんて理由だったとは夢にも思わなかったじゃないか。




「……ごめん! さすがに引いたよね。黙ってようかと思ったんだけど、やっぱそれも良くないかなって」


「罪悪感に押しつぶされてる推しめちゃめちゃ可愛いな」


「え?」


「あ、ごめん間違えた」




頭の中で留めておくはずの言葉を言ってしまった。許してくれわたしも混乱してるんだ。

気を取り直して。




「何て言うかその……執念がすごいね。手続きとかも大変だろうに……」


「事務的なことは早坂さんに協力してもらった。あの人、俺のメンタルケアのために何でもやるから」




なるほど。

通う学校を変えるなんて本人だけでほいほいできるものじゃないし、保護者への説得とかもあのマネージャーが一枚噛んでいるのだろう。


わたしはここまでの話を聞いて、逆に申し訳ない気持ちになってきた。




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