なぜか推しが追ってくる。




お母さんが幼いわたしに子役をやらせたのは、あくまでわたしが望んだからだった。

そして、わたしを使って話題作りをしようなんて、本人は考えていなかった。……本人は。




「あ、ねえそういえばお母さん」




恭くん関連で思い出した。ちゃんと聞いとかないといけないことがある。


ラフな服に着替え、メイクを落とすお母さんは「ん?」とわたしに目を向ける。




「……天羽恭くんにさ、わたしの個人情報しゃべったりした?」


「ええ、個人情報って? うーん、まあみーちゃんのことはいろいろ教えてあげたかも。あの子すごく良い子で、いろいろしゃべりたくなっちゃうのよね。本当、息子に欲しいわ」


「ああ……前テレビのインタビューでもそれ言ってたよね」


「うん! だから、みーちゃんのこと売り込んでおいたわよ。みーちゃんと結婚したら義理の息子に……」


「わーーーっ!!」


「いきなり大きな声出さないでよびっくりした」




なんだこれ。

知らないうちに外堀を埋められていたような感じが……。




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