なぜか推しが追ってくる。



ていうかお母さん、娘の個人情報管理どうなってるんだろうと思ってたけど。

これたぶん、色々と見越した上で恭くんにしゃべったな。お母さんはわたしが恭くんに夢中なの知ってたから。



……ああもう!!

今日一日、盛りだくさんすぎて疲れた。


とてつもなく、真緒と数馬と話しをしたい気分になってきた。

日常を感じてホッとしたい。






──そんな気分のまま迎えた翌日。


本日も舞台の稽古で学校を休んでいる恭くん。会えなくて残念だと思う一方で、どこか安堵しながら教室に入った。昨日の今日では恥ずかしい。


自分の席に荷物を置くと、教室の前の方にいた真緒を見つけたので声を掛けに行く。




「おはよう真緒……」




……一瞬、確かに真緒とは目が合ったと思った。

だけど真緒はわたしからふいっと顔を逸らして立ち上がると、そのまま歩いて廊下へ出て行ってしまった。




「あれ……?」




いつもなら人懐っこい笑顔を浮かべて挨拶を返してくれるのに。

わたしが声を掛けたことに気が付かなかったのだろうか。




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