なぜか推しが追ってくる。



話を聞き終えた恭くんは、盛大なため息とともに、申し訳なさそうに言った。




「えっ、いやいやいや、恭くんは謝らないで?」




早坂さんには文句の一つ二つ言いたいところだけど。

まあでも、真緒が怒ってるのはわたしが何も言わなかったからであって、やっぱり早坂さんも悪くはないんだよなあ。




「それで、やっぱり二人に黙っとくのもだめだと思って、明日ちゃんと説明することにしたんだけど」


『うん』


「どうしても勇気いるなあって。……あ、そうだ恭くん」


『ん?』


「明日頑張るわたしを勇気づける言葉、何かくれませんか?」




──軽いノリで言ったつもりだった。

恭くんがこれまで演じて来たキャラの台詞とか励ましてくれたら面白いな……と。




『瑞紀ちゃん。……俺は、そうやってちゃんと向き合おうとする瑞紀ちゃんが、すごく好きだよ』




だからそんな言葉は不意打すぎて。




「は、え……」




「好き」の言葉が頭の中にぐわんぐわん響いて、顔が一気に熱をもっていく。





< 154 / 223 >

この作品をシェア

pagetop