なぜか推しが追ってくる。
『瑞紀ちゃんは自分のこと、逃げてばっかりだと思ってるみたいだけど、俺にはちゃんと立ち向かってるように見えるよ』
「そうかな……」
『そうだよ』
力強くて、真剣な声。
その声を一瞬で崩して、恭くんはまたくすりと笑った。
『──こんな感じでいいかな。ただ俺の気持ちを言っただけなんだけど、勇気出た?』
「出ました。めっちゃ出ました」
電話越しでも音が伝わるんじゃないかと思える勢いで、わたしはぶんぶん頷く。
でもね。ちょっとばかりこれは……
「やっぱりファンサが過ぎるよ恭くん……」