なぜか推しが追ってくる。



火が出てるんじゃないかと思うぐらい顔が熱い。

恥ずかしさで小さくなっていくわたしの声をちゃんと聞き取った真緒が、「えっ」と目を見開いた。




「待って、てことは瑞紀……天羽恭と付き合ってるの?」


「ん? つきあって……」




そういえば。

好きって言ったし言われたけど、それで終わった。


付き合って……?




「わ、わかんない……」




思い返してみれば、これまでわたしに告白してきた人たちの言葉は「好き」だけじゃなく「付き合ってください」までがセットだった。

あの場合「はい」と答えればそこから交際スタートとなるわけだ。まあ、いつも返事をする前にちょっとしゃべればなぜか逃げられてしまったわけですが。


その言葉が無かった場合はどうなるのだろう。




「え、どうしよう、どうなんだろう!?」


「私は知らないよっ!」


「……いや、こっち見られても。オレも知らねえからな?」




恋愛経験の乏しい奴らが三人集まったところで、答えが出るわけがなかった。




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